【特殊ルール】せんせいのツメ杯使用構築
—前書き—
あらずぃおさん主催のせんせいのツメ杯。始めは参加するかどうかを決めかねていた。理由は2つ。
大会コンセプト的にお祭り感覚で楽しもうと考えられている節があり、私みたいなガッツリ勝ちに行くスタイルとは馬が合わないように感じた。
せんせいのツメは勝ち負けを不明瞭にする。勝った時は良いタイミングで発動したから。負けた時は発動しなかったから。一試合の経験値がキチンと自分の血肉になっているのか疑念が残る。ただただ時間を浪費しているような錯覚。虚無感。そこがどうしても許容できなかった(そもそもゲームがそういう類の代物という考えは一旦置いておく)。
以上の理由から私はせんせいのツメそのものを敬遠する思考下にあった。ある程度プレイングスキルを身につけた上でも手に余ると説いたことさえある。
ただ、この大会を逃した場合、一生和解することは出来ないんじゃないか。使い方を正しく認知せず、表面上の印象値で決めつける人間の一端に私は成り下がるのでは。出身大学はどこか、以前勤めていた会社は? 嗚呼。学歴や職務経験、資格の有無で人を判断する現実と何ら変わりがないじゃないか。
現実とゲームとでは勝手が違う。そう分かってはいるものの、私はすでにせんせいのツメをどのポケモンが1番強く使えるか考察を始めていた。
❶【構築経緯】
せんせいのツメは同優先度の技を使用した場合に発動した中で1番素早さステータスの高いポケモンが行動できるようになる代物。従って“せんせいのツメに左右されない”、先制技を強く扱えるポケモンを優先して採用されるのではないかと予想した。
ただし闇雲にそれらで固めたとて強い構築にはならない。先制技に特化したのが強いのであれば環境の一角に君臨しているはず。だが現実はガルニンフ。耐久火力の両立されたパーティーを中心にメタが回っている。高優先度技は物理で固められ低威力に纏まっている。特性の効果で優先度を上げてくるポケモンはステータスが軒並み低く設定されている。
現時点で1番強いと囁かれているのはニンフィア。既に充分な火力を持ち合わせており特殊耐久は高水準。いかくを絡めれば苦手な物理も盤石。彼女に有効な鋼タイプの先制技を持つポケモン達。鋼に強い炎・水ポケモン。ニンフィアが際立つ歪な三すくみの関係が出来上がることを認識した上で使うポケモンの選定に入る。
今回私が主軸に選んだのはウインディ。先制技で攻めるポケモンやニンフィアに対して総じて強い。特性いかくも今環境と相性◯。炎格闘電気の攻撃範囲は常に有利な択を押し付けられると踏んだ。ウインディは一定数いそうな天候パに無力なので雨砂に滅法強いナットレイを2体目に採用。ウインディ+ナットレイは非常に相性の良い並びとなるだろう。この2体を活かせるように構築を練る。
耐性の補完はおいおい考えるとして問題は攻撃面。今大会は基本性能が火力に直結する訳だが、鉢巻を持たせてようやく相手の脅威になり得るのがウインディナットレイ。素の火力を求めるのが前提として間違っている。自ずと火力サポートを行えるポケモンが3体目に入る。
ウインディより早く睨みつける・嫌な音等の補助が出来るポケモンを…とも考えたが、特性いかくが猛威を振るうのは目に見えている。いかくサイクルを絡められたらデバフが相殺される。まけんきかちきのポケモンが相手にいた場合はそもそもデバフを掛けにくい。てだすけで強化する策もないことはないが単体性能が高い使い手はウインディニンフィア。それ以外のポケモン達では数段スペックが落ちる。
そこで注目したのが“にほんばれ”と“くろいきり”。ナットレイに依存する天候パへの切り返し手段になり得る。かつ、炎技の火力補強。デバフ効果のリセット。諸々強い。上記両方の技を扱えてウインディより早く、地味に一貫していた地面技を無効。そんな要素を兼ね備えたクロバットを3体目に採用。ニンフィアに対してタイプ受け出来る点も◯。後々ゲンガーも似た性能をしていることに気づいたが、耐久値が数段劣っていたためクロバットを続投した。
クロバットを採用したことによりいかく2枚構築や瞑想ニンフィアへの回答が出来た。これ以上ウインディを強化する方向で考えるのは手詰まり感が否めない。別ベクトルで構築の強化。そこで4体目の出番というわけだ。4体目に欲しい要素は外部装置に依存しない攻撃性能と積み技に頼らないダメージソースの確保。注目したのは設置技。
ステルスロックやまきびし。トリプルバトルではあまり見かけない技。普段であれば珠・強化アイテムを用いて火力を高めているところを全員がせんせいのツメを持つ。種族値+努力値上限以上のビックリ火力を出すことは不可能。これまで手動天候を絡めたりてだすけを合わせることで火力を高める方法を模索してきた。ただ、それらに依存していると、相手に天候を奪われた際や盤面にてだすけ持ちがいない時に二の足を踏む展開になるのは明白。場の状況に左右されることなく一度撒いてしまえば交代や死に出しを挟むたびにダメージを蓄積させる設置技は今大会では非常に有用に思えた。
扱えるポケモン一覧を見てまきびしは切り。1番性能が高いのはナットレイだった。ジャイロボール、草技、まもるの3枠が埋まっていて、最後の1枠にまきびしをねじ込みたいかと云われると違う。ステルスロックを撒ける強いポケモンを探す方向に。
仮に私と思考が似通っていてウインディを主軸に構築を組む人が現れないとも限らない。ステルスロックが撒ける。対面ウインディとの撃ち合いに強い。素早さがウインディより早いと扱いやすい。とあるポケモンが脳裏に浮かんだ。その名はガブリアス。常にニンフィアのツメハイパーボイスに怯えることにはなるが、今まで採用してきた3体がタイプ上ニンフィアに有利。対ニンフィアを意識しすぎて取り巻きに負けたら元も子もない。採用しよう。
これまで全く意識していなかったが、ここまで採用してきたポケモンは全員が物理主体。範囲打点がガブリアスのみ。5体目には特殊範囲エースを採用するのが自ずと決まった。
手動晴れがベースになる構築のため天候に左右されない範囲技がベスト。晴れ熱風の火力は凄まじいが他天候パに隙を見せかねないのでボツ。そもそも手動晴れが雨パ相手に展開できなければナットレイ以外太刀打ち出来ないことにも気づいた。
特殊範囲エースになれる。天候に左右されない範囲技を持っていて雨パに強く出られるポケモン。ともなると、どう考えてもニンフィアを採用する他ないだろう。警戒度が普段以上に高いからなるべく使いたくなかったが、この際背に腹は変えられない。実際強いのだから上手く扱っていこう。
ここまでウインディナットレイの並び。サポート妨害クロバット。アタッカーのガブリアスニンフィアと5体まで決まった。ラスト1体に欲しい要素は何が良いか。
とりあえず必要ではないのはねこだまし要員。ねこだまし+範囲攻撃or全体撹乱+素早さ操作がセオリーの通常ルールと違い、素早さ操作を行った後に20%の確率で相手が先制してくる不安が常に付きまとうのがこの大会。せんせいのツメ杯。確実に素早さ操作を行うやり方に囚われていると地獄を見ると予想。ねこだましは切る。ただ、そこに無防備だと面倒なので掻い潜る手段は構築に忍ばせておく。
ウインディナットレイクロバットガブリアスニンフィア。この5体の並びを見返しているとガブが地震を撃ちづらいことに気づいた。地震をメイン火力として扱う構築に触れてきた経験上、浮いているコマが2枚と地震に巻き込まれてもいいコマが1枚あると構築としてバランスが良い。地震も撃ちやすくなる。浮いているのはクロバット。巻き込まれてもいいのはナットレイ。1枚足りない。最後の1体は飛行タイプor特性ふゆうのポケモンに決めた。
ツメいわなだれ対策を怠ると壊滅するのがチラつくので飛行タイプはこれ以上増やしたくはない。となると特性ふゆう持ちが望ましい。上記の5体ではランド対策が甘いことに気づいたのでその部分も補えると尚よい。条件に合致する6体目としてウォッシュロトムを採用する運びとなった。ウォッシュロトムは手動晴れとシナジーが悪いので、いっそのこと手動雨も構築内に取り入れる方針で進めていく。
❷【メンバー紹介】
構築経緯に採用意図から採用する技まで書き切ったので、個別解説は努力値の振り分けを主に。
❷-① ウインディ
S:準速ドラン抜き
❷-② ナットレイ
HAぶっぱ
❷-③ クロバット
HD-特化ガルドのシャドーボール高乱数2耐え
S-最速ガブリアス抜き
❷-④ ガブリアス
調整意図を忘れた。
❷-⑤ ニンフィア
考えるのが面倒になったので流用個体。詳しくは第2回イーブイズ最強決定戦より。
❷-⑥ ウォッシュロトム
S-準速ランド抜き
❸【大会当日】
参加者が1人しかいない。どうしろと。時期が時期なのもありえそうだが週ごとに大会を挟んでいるので掛け持ちになるのを嫌ったか。或いはこの大会自体に興味がないか。大会の募集記事が掲載された時には考察する人も多少いたにも関わらずこの始末。いいねリツイートをするぐらいなら参加しようと問いたいところ。
※敬称略
[1回戦] ぴーろー 3-0で勝ち。
サザンガルドハッサム以外がかなり予想外。構築の作り方として①ツメの奔流に委ねるか②単体性能を底上げするかの2択。相手は前者の作り方をしてきた。ということはかなり運に自信がある様子。
とはいったものの選出予想外全然出来ないのが困りどころ。1番火力の出るガブクロバットニンフで対戦開始。
相手はサザンヤミラミハッサム。圧倒的出し負け。間違いなくヤミラミでガブを止めながらサザンで処理する動き。ニンフバックウインディでガブはmove。クロバットはヤミラミにブレイブバード。キラン。ヤミラミとハッサムのせんせいのツメが発動。ヤミラミはガブにねこだまし。サザンはガブ方向にりゅうせいぐん、ハッサムはつるぎのまい。概ね予想通り。クロバットは虫の息だがまだ戦える。
2ターン目。ハッサムの前にウインディを出したはいいもののヤミラミのさきおくりがチラつくためウインディは動かせない。加えて大事にしたいので交代かまもるを選びたい。C2段階ダウンしたサザンはガブに睨まれているのでガルド交代が読める。となるとヤミラミの処理をガブかクロバットか選べる状況下。死に出しが何かは読めないのでクロバットでヤミラミを処理する方針で。ガブはせっかくなのでステルスロックを展開。ウインディバックナットレイ。ハッサムにダメージが入るように動く。
相手はサザンバックガルド。ヤミラミはウインディにさきおくり失敗。ハッサムはウインディがいたところにはたきおとす。予想通りの動き。6vs5。2ターン目に残数有利。
中盤。のろいを積んだカビゴンのじわれがナットレイにヒット。だが、ガブリアスと水ロトムの集中でカビゴンを落とすことに成功。散々暴れていたハッサムはウインディで処理。5vs3。
❹【結果&後書き】
優勝。参加者は私を含めて2名。うん。
無事に勝てて良かった。このまま誰もエントリーしないだろうなぁと高をくくっていたら参加者がいる。大会開始30分前に気持ちの整理をする羽目になったのは一生忘れないだろう。これで負けていたら目も当てられなかった。